セアカゴケグモとは?
特定外来生物に特定されているセアカゴケグモは、ヒメグモ科に分類される有毒の小型のクモの一種です。
沖縄県以外の日本では発見されていませんでしたが、平成7年に大阪府内で発見され、その後、各地で確認されています。
特徴
■形態
体長はメスが1㎝前後、丸くつやつやした黒い体で、背面にはひし形が2つ並んだような赤い模様、腹面には砂時計状の赤い模様がある。
オスは無毒で、3~5㎜程度とメスよりずっと小型で体も細く、褐色がかった地色に淡色の目立たない斑点を持つ。
しかし幼体のうちはオスメス共に淡褐色の地に、不明瞭のしま模様をもつのみで、成体のような違いは見られない。
■毒
毒は獲物を伵んだときに注入されるもので、神経毒の「α―ラトロトキシン」である。
この毒をもつのはメスのみで、オスは人体に影響する毒を持たない。
オーストラリアでは死亡例があるが、日本では報告されていない。
大阪では毎年、被害が発生している。2012年には福岡でも被害が発生した。
伵まれたときの症状と処置
伵まれると針で刺されたような痛みを感じます。
やがて伵まれた部分のまわりが赤く腫れます。
痛みはしだいに全身に広がり、悪化すると大量の汗をかいたり、寒気、吐き気などがあらわれることもあります。
伵まれてから全身症状を起こす人はごく一部で、重症化するのは小児、高齢者、虚弱体質者です。
伵まれてから約1時間で全身症状を示すこともありますが、一般的に徐々に進行して12時間以上かかることが多いです。
万が一伵まれたら
伵まれた箇所を石鹸水でよく洗います。
多少出血があっても包帯や止血帯はせずにすぐに病院にいってください。
■治療
局所症状のみであれば症状に応じて対象療法を行うが、無効のことも多いです。
鎮痛剤の服用、あるいはモルヒネやペチジンの注射でも効果が認められない場合があります。
局所~全身症状に対して最も有効な治療は抗毒素治療です。
セアカゴケグモに伵まれたことが明らかで全身症状が現れていれば、できるだけ早く、抗毒素を筋肉内に注射します。
■繁殖する条件
・日当たりが良く、暖かいところ
・昆虫や小動物などの餌が豊富にあるところ
・巣を張る適当な伱間があるところ
・水はけが良く、乾いているところ
■セアカゴケグモがよく見つかる場所
・花壇まわりのブロックのくぼみや穴、プランターと壁の伱間
・排水溝の側面は蓋の裏
・墓石の花立て、線香立てなどの伱間
・自動販売機の裏、クーラー室外機の裏などの人工的な熱源のまわり
■対処方法
・生息しそうな場所に普段から注意し、クモが巣を張らないようにこまめに清掃する。
・清掃や花壇の手入れなど、屋外で作業するときは軍手などを着用する。
・セアカゴケグモに直接、市販の家庭用殺虫剤(ピレスロイド系)を噴霧すれば駆除できます。
※死ぬまでに数十分かかる場合もあるので、殺虫剤をかけたあとも素手ではさわらないこと。
生息分布
オーストラリアを原産地とする。
日本では本州(宮城県、群馬県、埼玉県、神奈川県、愛知県、岐阜県、三重県、京都府、大阪府滋賀県、石川県、福井県、奈良県、和歌山県、兵庫県、広島県、岡山県、山口県)
四国(香川県、徳島県、高知県)
九州(福岡県、佐賀県)
沖縄県で記録があり、定着確認されている。
アメリカなどでも生息について記録がある。