現在、西アフリカで猛威をふるっている「エボラ出血熱」、皆さんはこの名をご存知でしょうか?
8月28日の発表によれば死者は1500人を超え、疑い例を含めた感染者は3000人を超えてしまいました。
「エボラ出血熱」、どんな病気なのか知っていますか?「遠い国の話だ」と片づけることができますか?
そうはいきませんよね…少しでも知っておくことが、大きな予防につながるかもしれません。
エボラ出血熱とは。
1970年代以降、中央アフリカ諸国でしばしば流行が確認されている、
エボラ出血熱【Ebola hemorrhagic fever】。
感染症の一つで、フィロウイルス科エボラウイルスを病原体です。
「エボラ」の名は発病者の出た地域に流れるエボラ川の名を取って命名されました。
人にも感染し、50%~88%という高い死亡率を持つ種類も存在します。
最近では、宿主はアフリカに生息するコウモリであることが明らかにされました。
「エボラウイルス」は人類が発見したウイルスの中で最も危険なウイルスの1つです。
しかし、感染症といっても、インフルエンザのように咳やくしゃみによって簡単に人から人へうつる病気ではありません。
エボラウイルスに感染し、症状が出ている患者の血液、分泌物、吐物、排泄物や、患者の処置に使用した注射針などに
十分な防護なしに触れた際にウイルスが傷口や粘膜から侵入することで感染するのです。
死亡した患者からも感染するほどエボラウイルスの感染力は強いが、
前にもあげたよう基本的に空気感染はないので、
患者の隔離に関する措置が重要なようです。
症状と治療
「エボラ出血熱」に感染すると、2~21日の潜伏期間の後、
突然の発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛、のどの痛みなどの症状が現れ、
次いで、嘔吐、下痢、胸の痛み、出血(吐血、下血)等の症状が出ます。
エボラ出血熱ウイルスに対するワクチンや、有効な治療法は残念ながら、現在に至るまで確立されていません。
患者にできることは、脱水に対する点滴、鎮痛剤、ビタミン剤の投与、
播種性血管内凝固症候群(本来出血箇所のみで生じるべき血液凝固反応が全身の血管内で無秩序に起こる症候群)
に対する抗凝固薬の投与だけが行われているのです。
日本上陸の可能性と対策。
流行地域からの帰国者で感染した疑いのある人について医療機関等から連絡があった場合、
国立感染症研究所で検査を行い、感染の有無を確認する体制が整っています。
もし、感染していることが明らかになれば感染症指定機関に移され、
感染防御対策の施られた病室で適切な医療が公費により提供されるのです。
万が一、日本で感染者がでたとしても日本国内の医療体制や生活環境から考えると、
日本国内で「エボラ出血熱」が流行する可能性は低いと言えるでしょうが、
流行地域に渡航する必要がある場合は、渡航前に厚生労働省検疫所や外務省の海外安全情報のホームページなどで現地の流行状況等、
最新情報の確認をしましょう。
流行地域から、帰国・入国した際は、各空港等に設置された検疫所のブースにおいて、
流行地に滞在していたことを検疫官へ話し、検疫官の指示に従うようにして下さい。
入国後、21日以内に突然の発熱や頭痛などの症状が見られた場合、事前に医療機関へ連絡し、
「エボラ出血熱」の流行地域に滞在していたことを伝えてから医療機関を受診しましょう。
日本でも約70年ぶりにデング熱感染が確認されている今日、遠く離れた国で流行している
「エボラ出血熱」は決して他人ごとでは済まされないこと。早く、ワクチンや治療法が見つかり、終息することを心から祈ります。